グスタフ クリムト
Gustav Klimt
私の自画像はない。
絵の対象としては自分自身に興味がない。
むしろ他人、特に女性、そして他の色々な現象に興味が有るのだ。
「接吻」1907-08 発表と同時に政府に買い取られた、彼の代表作。 崩れ落ちる宝石のようなあやうい足もとと まばゆい黄金の光につつまれた恍惚の表情。 「愛」は「死」と共に在り、隣り合うことで輝きを増す。 |
最も有名な「接吻」には、金箔が多用され絢爛な雰囲気を醸し出している。この作風は琳派の影響だともいわれている。
「ダナエ」1907-08 黄金の雨に姿を変えたゼウスは幽閉されたダナエを訪れる。 身をふるわせるエクスタシーを優美に表現した作品である。 ゆたかな顔の表情は、数多くの女性像の中でも絶妙にして秀逸だ。 |
彼の作品は、女性の裸体、妊婦、性など、赤裸々で官能的なテーマを描く。甘美で妖艶なエロスと、常に死の香りが感じられる。
「アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像Ⅰ」1907 「黄金の時代」に描かれた肖像画の傑作のひとつで エジプトや日本の装飾様式が見事な効果を生み出している。 彼女はクリムトの恋人のひとりだったと言われている。 |
「水辺の城館」1908-09 エミーリエとの避暑を過ごしたアッター湖畔の風景。 彼の風景画は、それ以外の作品とは全く違う趣を見せる。 生涯の恋人エミーリエとは、むしろプラトニックであったと言うが ここで描くのは「輝くばかりの愛」ではなく「心の安息」なのであろうか。 |
また、クリムトはかなりの数の風景画も残している。現在の日本の画家で流行っているSカンバス(正四角形)を愛用した。それは平面的、装飾的でありながら静穏で、同時にどことなく不安感をもたらす。
世紀末のウィーンで新しい芸術の波を先導し、多くの非難や中傷を受けながらも、自らの表現を追求し続けたクリムト。時代の反感をかいながらも、徐々に彼の作品は観るものを虜にし、現在に至ってもその価値は衰えない。
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