(夜の散歩者(夜の鷹)・夜更かしをする人々) |
「エドワード・ホッパー」
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Edward Hopperは、20世紀アメリカの具象絵画を代表するひとりだ。日常のひとコマを写実で描かれてはいるが、不思議な魅力に引きつけられる。
写真でいえば、こんなアングルで誰が撮るだろうかと思える。フレーミングがまったく独創的だ。しかも誰も絵にしようと思わないところで、しっかり絵にしてしまう。色数も抑制して良い意味で描き込みも少ない。
「ルーム イン ニューヨーク」
二人でいるほうが、ひとりより寂しい。
所在なさと倦怠が画面を薄く覆っている。
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彼の描く人物からは、人間の孤独や精神性が感じ取れる。静寂や空虚さの中から、どこか存在の不安めいた佇まいが感じられるのだ。かえってこのような静止して硬直化したような世界を見せられると、どこか逆にこちら側の精神性をオーバーラップされて来るように思える。このようなコンセプトは、デイビッド・ホックニーにも通じるようだ。
「夜のオフィス」 批評家の解釈を二つ |
1.「私たちは画面から、何か奇妙なことが進行中であることがわかる。 2人の関係は別にして、ふたりが見たところ、まだ見つからない書類をさがして、この遅い時刻に資料を読みふけっているらしい情況から、サスペンスに満ちた雰囲気が生まれる。」
2.「この絵においてホッパーは、普通以上に多くの手がかりを語り手に与えている。 デスクの左の方に、女が見たばかりの紙が1枚ある。 ひとは、この官能的な女性が紙を取ろうと手を伸せば、彼女の動作は男を目覚めさせるであろうと想定する。 奥の壁には、ホッパーは人工照明の切片を描いたが、今度はそれが男と女が相互作用するであろう点を劇化する。」
誰しも生活するうえでふと感じる孤独を表現している。現代の厳しい競争社会との対比で、よりいっそうエドワード・ホッパーの絵画の持つ魅力が引き立つ。今でも人気のある理由は、数十年前に作品が描かれた時代から現在まで、社会の根本的な仕組みが何も変わっていないことが理由だろう。
「ホッパーは実に精神的だ。見る “禅” のようだ。」と誰かが解いていたが、ホッパー自身こんな言葉を残している。
「もしも言葉で言えるなら、絵にする理由などないだろう。」
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